スキー理論

【指導員対策】2020年度指導者研修会の内容

かつての昔から多くの議論がなされてきたスキー指導法ですが,今日では日本スキー教程がスキー指導の指導方法を公開しています。日本スキー教程によると,スキーのターン性能・スキーヤーの運動特性・自然/斜面/地形の特性・アルペンスキー競技規則等を考慮・実践していく指導法だとされています。

そこで,この記事では日本スキー教程[1]の指導法を簡単にまとめていきたいと思います。

この記事の流れ

2020年度の指導者研修会内容をまとめます。

指導員対策記事に関しては,こちらのリンクより目次をご覧ください。

デモデーモ博士

今回は, 2020年度の指導者研修会の内容をまとめていくぞい。

パンサー君

指導者研修会って?

デモデーモ博士

SAJは全国で一貫した指導を行えるように毎年指導者に向けて研修会を行なっておる。その内容をここで改めて確認しておくぞい。

2019年度までの流れ

スキー教程は3年のスパンで見直されると言われていますが,現在のスキー教程は発刊から6シーズンが経過しています。この教程では指導の展開が「3本の矢」を中心にしています。(こちらの記事[スキー指導の展開]をご覧ください。)

2019年度までは,この3本の矢を束ねてさらに発展的な技術を目指すことを「テーマ」としていました。対して,2020年度では「ジュニア指導・初心者指導におけるターンポジション」が「課題」として設定されました。

ここで大切な点は3点です。1点目は2019年度までが「テーマ」であったのに対し,2020年度は「課題」であるという点です。何か抽象的なテーマを設定して,それを実現するためのノウハウが中心であった2019年度までと,明確な課題を設定してピンポイントな技術を中心とする2020年度では少し方向性が異なります。

2点目は,なぜ「ジュニア・初心者」をターゲットにするかという点です。これは,一昨年からジュニア・初心者をターゲットにしていたという背景があります。たしかに,スキーを普及させるためには,特に修学旅行やインバウンド(スキーに積極的な外国人観光客のこと)に焦点を当てようという動きは当然だと思えます。

3点目は,なぜ課題を「ターンポジション」としたのかです。この根拠は,マテリアルの発展に伴ってポジショニングが「後傾で膝を中心としたエッジング操作」が主流になっていることが指摘されているからです。これは「腰高」のポジションとは正反対です。今一度,基本のターンポジションを振り返ってみようというのが2020年度の研修課題です。

ターンポジション

「前後左右にいつでも動けるリラックスしたポジション」を意識します。プルークファーレンなどで,ターンポジションを確認しましょう。注意点としては,制動のためのプルークファーレンをするのではなく,あくまでも自分の体重を支える程度のポジションをキープします。沈み込みすぎてはいけません。

この「沈み込む」という操作がターン始動時の腰高ポジションを作れなくする1つの原因です。外向・外形が強く出てしまう人も,沈み込んでカッチっと決めすぎてしまう傾向にあります。

ちなみに,みなさんは「腰高のポジション」の定義をご存知でしょうか。2020年度のオフィシャルブック内では「スキーを回し始める最初の重心位置での理想の腰の位置」と定義されています。正直,理想という言葉に頼って用語が定義されているため,かなり曖昧な印象を受けます。

当サイトでは,腰高のポジションを「骨頭から大腿骨を通じて両スキーに真上から働きかけられるポジション」と定義します。

パンサー君

骨頭?大腿骨?いきなり難しいこと言うわ〜。

骨頭と大腿骨は,以下の部分を指します。

つまり,「骨頭から大腿骨を通じて」というのは要するに「骨盤から」と言い換えることもできます。実際に「骨盤から」と指導するのは鉄板の方法です。しかし,「骨頭」「大腿骨」を意識させることで,よりクリアに骨盤から働きかけるイメージを持たせられると思います。

2020年度のオフィシャルブックでは,腰高のポジションは「重心移動」によって実現されるとしています。これは間違いないです。ただ,当サイトの理解としては,重心移動をして腰高のポジションを「作る」のではなく,良いポジションをキープしながらスキーに働きかけてターンをした結果,腰高のポジションが「作られる」としています。

練習方法・指導方法としては,腰高のポジションを能動的に作らせる練習は効果的です。しかし,実際のターン中に「良いポジションをキープしていく」という方針でターンを説明するのであれば,腰高のポジションが作られるという説明の仕方もアリだと考えています。

初心者・高齢者をターゲットとして

初心者の多くは「脚を突っ張った後傾ポジション」になることがほとんどです。この研修会のゴールは,そのような初心者の方々がプルークボーゲンでゲレンデを移動できるようになるまでとします。

まず,直滑降からブレーキで制動を意識させます。先ほどは制動を意識しませんでしたが,初心者に対してはまず制動の身体の使い方を覚えさせます。次に,プルークファーレンにおいて,制動ではなく腰高のポジションをキープしてバランスをとる身体の使い方を身に付けさせます。

制動を意識すると多くの初心者のお尻が下がります。ですので,プルークボーゲンへ発展させるときは恐怖感を抱かせないような斜面で,制動ではなく推進の方向へターンポジションを作らせることを意識してください。

まとめ

デモデーモ博士

今回は,2020年度の研修内容をおさらいしたぞい。

パンサー君

身体の構造とターンのしくみが少しずつ繋がってきた!

デモデーモ博士

その通りじゃな。スキーは全身をつかうスポーツじゃ。自分の身体を知らずして,スキー技術を上達させることは難しいぞい。

参考文献

[1] ”日本スキー教程.” 山と渓谷社(2018)
[2] ”資格検定受検者のために.” 山と渓谷社(2019)
[3] ”教育本部オフィシャルブック2020.” 山と渓谷社(2019)

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